主張Opinion

行政上の課題

指定都市は、大都市ならではの行政ニーズを抱え、また、道府県並みの行政能力があるにもかかわらず、現在の制度では、道府県の事務が「特例」として部分的に与えられているに過ぎず、基本的には一般の市町村と同じく道府県との二層制が維持されています。つまり、大都市の位置づけや役割が法律上明確にされていないことが大きな問題です。


結果として、道府県に事務権限が留保されていたり、道府県の過剰な関与が残されていたり、同種の事務を道府県と指定都市が実施することによる非効率が生じていたりして、指定都市が抱える複雑・多様な課題を、自らの判断と責任で一体的・効率的に処理することが難しい状況となっています。

1 指定都市の役割に見合った税財政上の措置が不十分なこと

指定都市は、地方自治法及び個々の法令に基づく事務配分の特例により、道府県に代わって多くの事務を行っています。また、国から地方自治体への事務の移譲の際の財源措置については、国が「必要な措置」を講ずるべきとされていますが、現在の制度では税財制上の措置が十分行われていません。

2 指定都市へ移譲されている事務が部分的なこと

指定都市には、道府県から指定都市へ移譲する事務は、「特例」として部分的に配分されるにとどまっており、各行政分野において関連する事務が一体的に配分されるものとなっていません。そのため、道府県による指定都市に対する様々な関与が依然として残されています。

3 道府県の役割分担が不明確なこと

都道府県と市町村の役割分担については、地方自治法は「基礎自治体優先の原則」の考え方を明確にしていますが、指定都市が実施している事務について道府県が区域内の全域を対象に実施している場合があり、非効率の弊害が生じているおそれがあります。